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vol.4 花粉症について

  1. 今シーズンの見通し

2010年の花粉飛散開始は[例年並み~やや早い]という予想です。飛散量は例年に比べ、やや少なめのようです。スギ花粉は2月中旬から関東南部から九州南部にかけての太平洋側から北上しはじめると予想されています。特に最高気温が20℃を超える場合は、一部の地域では1月下旬から2月上旬には飛散が見られるケースがあります。

  1. 花粉症とは? 植物(スギ、ひのき、ブタクサなどが代表的)の花粉が、鼻や目などの粘膜に接触することによって引きおこす異物反応です。体の免疫反応が、花粉によって過剰に反応して花粉症の症状が出るのです。花粉が鼻や目に入ると、体が花粉を外に出そうとするために、[くしゃみ]で吹き飛ばしたり、[鼻水][涙]で花粉を洗い流そうとしているのです。

  2. 花粉症の特徴 くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、また皮膚炎、喘息の症状、のどの不快感などがあります。花粉の飛散期に一致して症状が起こります。花粉症は季節的にも風邪の流行する時期に重なります。このため発症の初期では、くしゃみ、鼻水が症状として同じことがあります。また、急に悪化したほかの鼻疾患、たとえば慢性副鼻腔炎(蓄膿症)などの鑑別が必要になります。現在の日本では、スギ花粉によるものが大多数です。スギ・ヒノキは2月から5月、イネ科の花粉症は6月から8月、ブタクサの花粉症では8月から10月に症状が出ます。

  3. 花粉症の治療について 花粉症の治療法を大きく分けると、症状を軽減する対症療法と根本的に治す根治療法の二つがあります。 対症療法:点眼薬、点鼻薬などによる局所療法 内服薬などによる全身療法 手術根治療法:原因抗原(花粉など)の除去と回避 減感作療法(抗原特異的免疫療法)

一般的治療としては、局所療法と全身療法が多く用いられています。薬剤による治療は、花粉飛散開始の一週間前、あるいは少し症状が出た時より始める初期療法が季節が始まって症状が出現してから薬剤を使用し始めるより効果が高いことがわかっています。

  1. 花粉症にならないためには

大量の花粉に出会うと、体が花粉に対する抗体を産生する可能性が高くなります。スギに対する抗体をたくさん産生すると、何らかのきっかけでスギ花粉症を発症しやすくなります。また、これまで軽症で花粉症であることに気がつかなかった方も、花粉を鼻からたくさん吸い込んだり、目に入ったりすると、花粉症の症状が強くなります。花粉になるべく接しないことは重要です。一般的な注意事項として、睡眠を良くとること。規則正しい生活習慣を保つことは、正常な免疫機能を保つために必要なことです。風邪をひかないこと、お酒の飲み過ぎに気をつけること、タバコを控えることも鼻の粘膜を正常に保つために重要です。外出時に洋服の表面がすべすべした綿かポリエステルなどの化学繊維のような花粉が付きにくいものを着用し、マスク、めがねもつけるとよいでしょう。そしてうがいも忘れずに。最近では、花粉を99.9%通さない不織布製のマスクやゴーグルタイプのめがね、花粉が鼻に入らないようにする軟膏など優れた花粉症グッズも多く販売されているので、試してみることもいいでしょう。

  1. 花粉症データ(参考までに) あくまでも参考値ですが、首都圏8都県市によるアンケートでは、花粉症と診断されている人が21%、自覚症状からそう思うという人が19%、すなわち花粉症患者は40%という数値が出ています。また、製薬会社のアンケートでは、16歳未満の3割が花粉症と考えられるということです。男女差は一般に、成人では女性、小児期では男児に多いと言われています。また、花粉症についての調査ではありませんが、両親ともアレルギーではない場合に子供がアレルギーになる率は26.7%、両親共アレルギーの場合は57.4%、母親または父親がアレルギーだとそれぞれ44.8%、44.1%という数字があります。

花粉症は死に至る病気ではありませんが、自然に治るということは少なく、かつ難治性です。一旦、強い症状が出てしまうとなかなかやっかいです。例年症状の強い方は、少しでもおかしいと思われたら早期に医療機関への受診をおすすめします。

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