
医療の発展、新薬開発が年々進み、次々と新しい薬剤が世に出てきてくれます。 その、たくさんの人の期待に応える薬が、意外なことがきっかけで開発されることもあります。 例えば、数年前から活躍している、D-PP4阻害薬。 「インクレチン」という食後に腸管から分泌されるホルモンに注目したお薬です。 インクレチンを薬として開発するきっかけになったのはトカゲでした。
アメリカに住むトカゲのすい臓は、反応が非常に早かったそうです。
人間のすい臓、特に糖尿病で血糖のコントロールが出来ていないすい臓は、 食べ物が糖に分解されて、体内に糖分が増えてから初めてインスリンを出そうとします。 ですがトカゲは、食べ物が口に入った瞬間にインスリン分泌の準備を始めるため、 血糖値が上がりにくいことが分かったのです。 これを薬として応用したのがインクレチンで、人間のすい臓を常に反応しやすくしておけます。また、インクレチンは、血糖値をコントロールするので、不必要なほど血糖値が下がることもありません。 インクレチンが薬として使用されるようになり、さらに血糖降下剤の選択肢が増え、私たちにも恩恵がもたらされています。 自然と一緒に暮らしていく中で、もちつもたれつ、トカゲにもありがとう。
