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アク(灰汁)取り 

お料理を美味しく頂くために、アク取りをしなくてはならない食材があり、私自身も母や姑などから教えてもらい、なんとなく見様見真似でやってきました。それは先人たちの知恵で代々伝えられて繋がってきた方法だと思いますが、今回はそれを科学的に考えてみようと思い少し調べて見ました。


先ず、アクとりの目的は、料理の味を損なう「苦味、えぐみ、臭味」を取り除く事と、食品の変色を抑えて見栄えを良くし美味しくするために行うことが主だと思いますが、中には健康に影響を与える種類のアクを取り除く目的もあります。


アクの成分は、動物性と植物性があります。動物性は、血液やタンパク質の固まりでカレーや煮物など作る途中で浮き上がってくるアクです。植物性のアクは、ポリフェノール・サポニン・シュウ酸・プタキロイド・青酸などの成分があります。


ポリフェノールは、ほぼ全ての植物が持つ苦み・渋み・色素の成分ですが、構造の違いで「カテキン」「イソフラボン」「アントシアニン」と呼ばれています。抗酸化作用があり身体を錆びさせない働きがあります。


サポニンは大豆・ごぼう・田七人参・お茶などに含まれているアクですが、コレステロールを下げて動脈硬化を予防・免疫力向上・肥満予防の働きがあると言われています。大豆を洗って水に浸けると出てくる泡が大豆サポニンで、石けんのシャボンの語源と同じだそうです。

上述のように、健康に影響しないアクは味や変色により見た目は落ちますが摂取しても問題ないものですが、後述のアクは健康被害を与える物なので、アク取り作業は大事になります。


シュウ酸はほうれん草・筍・キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・未熟なバナナ・コーヒー・紅茶など・・結構いろいろな食品にふくまれていますが、唾液中のカルシウムイオンオンと結合しシュウ酸カルシウムとなり口の粘膜を刺激します。また、カルシウムの吸収を阻害するだけではなく、シュウ酸カルシウムが蓄積して尿路結石の原因にもなります。水溶性のアクなので水にさらす、お湯で茹でるという簡単な方法でシュウ酸を減らすことができます。


プロキロイドは生ワラビに含まれているアクです。発がん性があると言われており、丁寧なアク抜きが必要です。重曹を使いアク抜きする方法などがあります。


青酸は熟していない青梅に、糖と青酸が結合した青酸配糖体という形で含まれていて毒性があるので、生の青梅を食べると頭痛や吐き気を引き起こします。それは人などの動物性細胞に取り込まれると、ミトコンドリアの電子伝達系をブロックし致死的な影響を与えるからです。必ず、梅干しや、酒やシロップに漬けて毒成分を抜くことが必須です。


先人たちが、日々の生活の中で当たり前のように手を加えていたアク取りは、実は科学的に大変意味のある事でした。


昨今、デパート・スーパーなどでアク取りされたワラビ・筍なども並んでいますが、段々忘れられてきている先人の知恵を、私も子どもに伝承することが大切かなと思いました。




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