抗凝固薬「ワルファリン」をご存知ですか?

2011年10月20日 | コメント(0)

kazuhide.JPG1920年代、北米カナダで家畜の牛の出血が止まらなくなって死に至るという謎の病気が大流行しました。
当時牧草として利用されていたスイートクローバーを食べた牛が病気にかかることがら、この病気は「スイートクローバー病」と呼ばれ恐れられました。当時の学者が原因を調べたら、スイートクローバーが発酵・腐敗すると「ジクマロール」という化合物が生成し、血液凝固作用に関わっているビタミンKの働きをこの物質が阻害する(=血液が固まりにくくなる)ことによるものだと分かりました。この「ジクマロール」を元の化合物として「ワルファリン」が合成されました。
当初は殺鼠剤(いわゆる猫いらず)として利用されていた「ワルファリン」ですが、現在は医薬品としての利用が主流になっています。昨年ダビガトランという薬剤が承認されるまで我が国では心原性脳塞栓症(心臓の異常動作により発生した血液の塊が脳の血管を塞ぐ病気です)に適応のある唯一の経口薬剤でした。脳梗塞などの塞栓症の治療・予防に有用であり、安全性が高く使いやすい本剤は今もなお臨床の場において使われています。
ちなみに、殺鼠剤としても現役で、強力ラットライス®、強力デスモア®などの商品名で流通していますが近年は「ワルファリン」が効かない「スーパーラット」と呼ばれるネズミも出てきているそうで、更に強力な化合物「ジフェチアロール」(「ワルファリン」の約300倍強力だそうです)というものも合成されており、デスモアプロ®などの商品名で販売されています。
一方で薬、もう一方で毒餌として使われる極端な薬ですが、薬を適正使用するために我々が存在しているのでありそのための努力を今後も重ねていきたいです。

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