vol.6 禁煙について

 10月1日より、増税に伴いタバコの価格が引き上げられたことは記憶に新しいのではないでしょうか。これをきっかけに禁煙を決意する喫煙者も多いようです。タバコは体によくないということは周知の事実だと思いますが、喫煙により、具体的には体にどんな影響があるのでしょうか。

・3大有害物質
タバコの煙には4000種類以上の化学物質が含まれていると言われており、有害性が確認されている物質だけでも200種類以上に及びます。その中でも特に3大有害物質と呼ばれているのがニコチン、タール、一酸化炭素です。
<ニコチン>
ニコチンはタバコ依存症の原因となる物質で、喫煙により速やかに脳に達し快楽を伴う精神効果があります。ニコチンは強い心理的欲求と渇望(精神依存)をもたらすため、効果が切れると不快感、イライラ、不眠、抑うつなどの脱離症状を生じます。また、交感神経を刺激する働きがあり、末梢血管を収縮させ、血圧の上昇や心臓への負担、血管の老化を引き起こします。
<タール>6137466_81218eb7b8_b.jpg
タールは発がん性物質を大量に含有しており、タールに含まれる化学物質のうち、ベンゾピレン、ニトロソアミンなど40種類以上に発がん性が確認されています。一酸化炭素は赤血球の中のヘモグロビンと結びつき、血液の酸素運搬機能を妨げます。
<一酸化炭素>
一酸化炭素がヘモグロビンと結びつく強さは酸素の200倍と言われています。本来、酸素と結びつくはずのヘモグロビンが一酸化炭素と結びつくことにより血液中の酸素が十分に運搬されず、組織の酸素欠乏をもたらします。

・喫煙による身体への影響
次に、喫煙により健康にどのような影響があるのか具体的に述べたいと思います。タバコに含まれる有害物質は煙を吸うことで、口、のどを通って気管支から肺に入ります。さらに、唾液とともに飲み込まれ、食道・胃・腸などの消化管をはじめとして、全身に運ばれます。このため喫煙による健康被害は全身のほとんどの臓器に及び、様々な疾患の発症・進展のリスク要因となります。タバコとの関係が疑われる病気の種類には、肺がん、口腔・咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、膵がん、肝がんなどの「がん」、狭心症、心筋梗塞、末梢血管障害、大動脈瘤、脳血栓、脳出血などの「循環器疾患」、胃・十二指腸潰瘍などの「消化器疾患」、慢性気管支炎、肺気腫、喘息、上気道感染症などの「呼吸器疾患」などが挙げられます。
<女性の喫煙者>
女性においては、妊娠能力の低下や胎児への影響が挙げられます。喫煙により卵巣の血流量が低下することなどが原因で妊娠能力が低下するという報告があります。また、喫煙者の子供は非喫煙者の子供と比べて低出生体重児の出生率が高くなるという報告や、身長や頭囲の成長が遅れることを示す報告もあります。この他、喫煙は肌トラブルの原因にもなります。喫煙による末梢血管収縮により、皮膚の血流量が低下します。また、大量の活性酸素がコラーゲン線維の合成を阻害するため、しわの原因になったり、皮膚の老化を促進すると言われています。禁煙を実施する事で、これら多くのリスクを抑制することができると言えます。

・受動喫煙、副流煙
喫煙は喫煙者自身の健康への影響はもちろん、喫煙者の周囲にいる人たちの健康をも脅かすと言われています。自らタバコを吸わないのに他人のタバコの煙にさらされ、吸ってしまうことを受動喫煙といいます。タバコに含まれる有害物質は、主流煙(喫煙者がフィルターを通して吸う煙)よりも副流煙(タバコの火のついた部分から立ち上る煙)のほうに高濃度で含まれているため、受動喫煙が問題視されています。受動喫煙が原因で発症した肺がんや心筋梗塞で年間6800人が死亡しているとの推計値が厚生労働省から発表されています。受動喫煙を抑制しようという動きは今や国際的なものになっており、公共的な場所を全面禁煙にする動きは今後も加速しそうです。

・いざ禁煙!
こうなると、喫煙は単に個人の嗜好だけの問題では済まされなくなります。そこで禁煙、ということになるわけですが、喫煙習慣の本質はニコチン依存症という病気です。単なる習慣や癖ではありません。禁煙の困難な理由として挙げられるのはタバコに対する2重の依存であり、ひとつは生活習慣として根付いてしまった心理的依存と、もうひとつはニコチンに対する身体的依存より成り立つ「依存症の一型」であるという認識がなされています。現在では、ニコチン依存は治療の必要な病気であると位置づけられ、平成18年6月にはニコチンパッチが保険適用となり、平成20年5月にはニコチンを使用せず喫煙時の満足感を軽減する経口禁煙補助薬(成分名:バレニクリン)が発売されました。
<ニコチンパッチ>
ニコチンパッチにはニコチンが含まれており、少量のニコチンを体内に補充することで、ニコチン切れによるイライラ感などの離脱症状を緩和しながら、禁煙を助けることを目的としています。ニコチンパッチや、ガムを噛むことでニコチンを摂取するニコチンガムといった禁煙補助薬は、 薬局・薬店で入手することもできます。
<バレニクリン>
バレニクリンはニコチンを含みませんが、その構造がニコチンに似ているため、ニコチンと同じように作用しニコチンよりも少量の快楽物質ドパミンを放出させます。もし、使用中にタバコを吸ってもニコチンは結合する受け皿がないため、満足感が軽減されます。しかし、少量のドパミンがバレニクリンによって放出されるため、禁煙に伴う離脱症状を緩和することができます。

imageCAJB36VJ.jpg健康保険で禁煙治療を受けようとする場合、保険適用の条件には施設の基準もありますので、受診する施設が保険診療を実施しているかどうかを確認することをお勧めします。

 

 

 

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