いよいよ、冬がやってきます。
寒い気候と、病気の関連性は目立ちます。
多くの人は、毎年晩秋から冬にかけて、風邪をひいたり、インフルエンザにかかったりします。
しかし、重要な事は、風邪やインフルエンザはウィルスによって引き起こされます。
もし、ウィルスがなかったら、どんなに寒くなったとしても、風邪はひきません。
それでは、気温が下がることと関連しているのは何故でしょうか。
1つは、冬の間には家の中にいる頻度が多くなります。
それはつまり、人と接触することが多いという事です。もっと人がいるという事は、病原体が広がる機会にもっとさらされるということです。
それに加えて、湿度がウィルスを広げる役目をします。
冬に湿度が下がると、ウィルスはもっと容易に広がります。
ウィルスが好む環境として目安になるのが「絶対湿度」です。
対するのが、「相対湿度」です。
絶対湿度・・・気温に関係なく、空気中に含まれる水蒸気の分量を示したもの。
相対湿度・・・その気温に対して含むことができる最大の水分量のうち、どのくらいの水分が含まれているかを示したもの。
例えば、気温30℃での湿度50%と気温15℃での湿度50%では、空気中に含まれる水分量は全く違います。
もともとウィルスは水分を含んでいる物質の為、水分が少ない空気であればあるほど軽やかに浮き上がりやすくなり、人間の生活に近いところを飛んでいます。
ウィルスが好まない環境を整えることも重要です。
目安として、室内温度18℃~22℃、湿度50%~60%の状態が保てればインフルエンザ予防になります。
絶対湿度 季節性インフルエンザ流行予測 危険度
11g/m3超 インフルエンザが流行しにくい湿度 ほぼ安全
11g/m3以下 インフルエンザが流行しやすい湿度 注意
7g/m3 インフルエンザがとても流行しやすい湿度 警戒
(季節性インフルエンザウィルス A型)
絶対湿度が、11g/m3以下になったとき、インフルエンザが流行し始め、7g/m3以下でインフルエンザの感染が拡大すると、最近の研究では言われています。
<気温、湿度の変化によるインフルエンザウィルスの生存率>
気温℃ 相対湿度% 絶対湿度 g ウィルス6時間後生存率%
32 50 17 0
32 20 7 17
22 50 10 3~5
22 20 4 66
7 23 2 63
また、冬は鼻の中の粘液が乾燥します。粘液は病原体から守る、バリアとしての役目を果たしています。絶対湿度は、インフルエンザの流行だけでなく、のどの乾燥にも関係してきます。
そのうえ、日照時間の短さから、太陽から得るビタミンDが不足すると、免疫システムに不利に働きます。
家の中にいる頻度が高いことと、冬は日が短い事で、これが大きな要因となります。
さらに、寒い気温は、血液の収縮を引き起こします。それにより、白血球がウィルスに届くのを防ぎ、最後には免疫システムを阻害します。人間の免疫力の重要な要素でもある白血球は、体温が1度下がると、働きが30%下がると言われています。
免疫システムを抑えるコルチゾールのレベルもまた気温と共に上がり、ストレスを減らします。
一般的な風邪に対する免疫反応は、実際、気温によります。
冬の気温で、ウィルスの外層もしくは覆っているものがもっと固くなり、盾のようになります。
これにより、人から人へと、広がりやすくなります。
でも、暖かい気温では、この層はもっとジェル状で、要素から守るには、ウィルスの固さが十分ではありません。
結果として、拡大する能力が損なわれます。
人間の体は、免疫不全や脱水状態、疲労や体温の低下などで免疫力は低下します。
その様な状態の時に、寒冷や空気の乾燥により、ウィルスに感染して、風邪に罹りやすくなります。
風邪の大半は、ラノウィルスによるものだと言われています。
ラノウィルスは、一年中蔓延し、特に春と秋に多くみられます。
また、ラノウィルスは、人間の平均体温37℃に対して32~33℃でより多く増殖し、咽喉の上気道や鼻の粘膜を攻撃します。
したがって、寒さは、ラノウィルスを増殖させ、人間の免疫力を低下させるために風邪を引きやすくなります。
風邪の予防法
1、 水分を取る
発熱すると、脱水症状が起きやすいので、しっかり水分補給をします。
経口補水液など、点滴水に近い養分を含むものが好ましいです。
2、 免疫力を高める栄養素
ビタミンAやビタミンBやビタミンCの摂取を心がけましょう。
タンパク質も抵抗力をつけるためには必要です。
また、亜鉛は免疫細胞の働きを活性化させます。
3、 部屋の湿度を40%~60%に保つ
乾燥は、ウィルスにとって蔓延できる環境です。
適正な湿度を保ちましょう。
4、 体温の調節
熱の上がりはじめは、上着を着用して部屋を暖め、体温を逃さないようにします。
熱が上がったら、わきの下や首の周りを冷やします。熱が下がり始めたら薄着になり、熱を体外に放出できるようにします。
そして、睡眠を十分にとりましょう。
バリア機能とは
人間の体の表面を覆っている皮膚は、紫外線や乾燥、雑菌、ほこりなどの外部刺激から体を守ってくれます。
また、皮膚には肌の水分が必要以上に蒸散するのを防ぐ役目もあります。
この大切な役割を担っているのは、表皮の一番外側で外界と接している角質です。
三大保湿因子
① 肌の一番外側を覆って水分の蒸発を防ぐ「皮脂膜」
② 角質細胞内にあって水分を保持する「天然保湿因子(NMF)」
③ 角質層の細胞と細胞の隙間を埋めて水分の蒸発を防ぐ「角質細胞間脂質(セラミド)」
この3つがバランスよく整っていると、バリア機能が正しく働き、うるおいのある肌を作ることができます。しかし、肌のバリア機能は、外気の乾燥や紫外線、洗顔時などに強く乾燥した肌が痒くて掻いてしまったりするなどの物理的な刺激でダメージを受け、機能が低下してしまいます。
保湿剤の種類
ワセリン・親水軟膏:被膜形成により水分の蒸発を防ぐ。
即効性、作用時間が長い。
刺激や感作性がない。
べたつきがある。
ヘパリン製剤 :角質内水分保持作用。
低刺激性。
尿素製剤 :角質内水分保持作用、角質融解作用→角質肥厚部位に。
刺激性あり。
アズレン含有物質:抗菌効果、炎症効果あり。
湿潤性病変への長期使用でラノリンによる接触性皮膚炎あり。
(ラノリン;羊毛の根元の固形油(ウールグリース))
バリア機能が低下すると・・・
角質の水分量が低下すると、肌のバリア機能が低下し、表面は乾燥して鱗屑(りんせつ)や亀裂でざらついたドライスキンになります。
ドライスキンになると、皮膚表面近くまで痒みを感じる神経線維がのびて、外からの刺激に敏感になり、ちょっとした刺激でも痒みを感じやすくなります。
このため、皮膚を掻いて炎症が起こり、さらに痒みが悪化するという悪循環になります。
また、外界から異物やウィルス、細菌などが侵入しやすくなり、湿疹や蕁麻疹や皮膚疾患をきたしやすくなります。
スキンケアの注意点
スキンケアとは、皮膚を清潔にし、保湿をすることです。
紫外線対策も重要です。紫外線は、日焼けを起こすだけでなく、皮膚のバリア機能を低下させ、乾燥させます。
それから、皮膚を刺激しない工夫も大切です。
*汗をかいたり、汚れがついたらすぐ落とす・洗う。
*爪は短く切り、手も清潔にする。
*衣類は吸湿性の良い、肌触りの良いものを選び、飾りは避ける。
*赤ちゃんは、口の周り、よだれや指しゃぶりで悪化することがある。
*入浴し、石鹸で洗う。
*石鹸は洗浄力の強すぎないものを泡立てて、やさしく洗う。
*入浴は、熱すぎる湯は避け、あたたまりすぎないように注意。
*入浴後、肌の水分量はどんどん減少していくので、できるだけ早く保湿剤を塗布する
まず、肌を清潔に保つことが重要ですが、ゴシゴシ洗ったり、日に何度も洗浄したりすると、かえってバリア機能が損なわれます。
汚れをしっかりと落としつつ、余計な刺激が加わらないことを意識しましょう。
また、熱いお湯での入浴や洗顔は避けましょう。
熱いお湯ほど肌の保湿成分を奪ってしまうため、さらに乾燥を招いてしまいます。
*耳の上や後ろも忘れずに。
*背中など、塗りにくい所は、他人に手伝ってもらうとよい。
*皮膚炎が悪化したときには保湿剤だけでなくステロイド剤などで対応すること。
ドライスキンに基づく皮膚過敏性
掻破はバリア機能をさらに破壊し、炎症の惹起や肥満細胞活性化等、病変を修飾・憎悪させ、悪循環を引き起こします。
バリア機能の主な原因として
1、 角質細胞間脂質であるセラミドの低下や、フィラグリン遺伝子異常による天然 素質因子の減少に伴う角質バリア機能障害
2、 タイトジャンクションタンパク質の減少によるバリア機能障害
などが挙げられます。
皮膚バリア機能の低下により
→刺激に過敏に反応→保湿剤で保護・修復となります。

保湿剤を効果的に塗るためのポイント
1:手を洗ってから、保湿剤を手に取る
まず、手を清潔にしてから保湿剤を手に取る。薬剤を取る量の目安は、人差し指の指先から第一関節程度でよい。この量で、手のひら2枚分の面積に保湿剤を塗ることができます。
2:取った保湿剤を数か所に置く
第一関節の塗り薬を手に取ったら、それを保湿したい部分の数か所に点在させる。
等間隔に保湿剤を点在させるとよい。
3:手のひらで丁寧に塗る
手のひらを使って塗ることにより、ムラなく丁寧に塗ることができる。
この時に、体のしわに沿って塗ることによって、保湿剤がより皮膚に馴染みやすくなるので、保湿効果が高まる。
4:入浴後、5分以内に塗る
保湿剤は、水分を体から逃がさないために塗る。そのため、水分を皮膚が十分に吸収している入浴後に塗るのが最も効果的。
塗る時間は、入浴後に早ければ早い方がよい。

お薬手帳はみなさまにとって一番身近なカルテです
いま服用してる薬の名前と、種類と、数量をすぐ言えますか?


お薬手帳とは、病院や薬局でもらった薬を記録していく手帳のことをいいます。いつ、どこで、どのような薬を、どれくらいの量飲んだかなど、過去の薬の記録(服用歴)が一目で分かるようになっています。また過去の病気の記録(病歴)や、体質(アレギー歴)、飲んで体に合わなかった薬(副作用歴)等も記録できます。言ってみれば、患者様ご自身が管理して、いつでも持ち歩ける便利なカルテのようなものです。

例えば、ある人が頭が痛くて病院にかかって頭痛薬を処方されます。そして同じ人が次の日、歯医者さんで痛み止めの薬を処方されたとします。その時、事前に歯医者さんに「頭痛薬を飲んでいます」と伝えておけば、歯医者さんは頭痛薬と重ならない薬の処方を考えます。
しかし、患者様が何の薬を飲んでいるか忘れて伝えられなかった場合には、歯医者さんはそれを知らずに、頭痛薬と同じような効果を持つ痛み止めを処方するかもしれません。もし、そのまま頭痛薬と痛み止めを一緒に飲んでしまったら同じ効果の薬を倍の量飲むことになり、副作用が現れる危険性も高くなります。もちろん、医師や薬剤師が事前に確認はしますが、そこでお薬手帳を持っていれば、何の薬をどれくらい飲んでいるかがすぐに分かりますので、同じような薬が処方されることを避けることが出来るのです。

他にも使い方次第で非常に役立つケースがたくさんあります。
- 飲み合わせ
複数の病院にかかって多くの薬を処方されていたり、市販薬を買って飲んでいる場合、薬の飲み合わせによっては効果が強く現れて副作用が出たり、逆に弱まってしまうこともあります。お薬手帳を事前に見せて、医師や薬剤師に薬の飲み合わせをチェックしてもらいましょう。
- 合わなかった薬
薬を飲んだ時に副作用が出たり、合わないと感じることがあった場合、その薬とその時の症状など書き込んでおきましょう(もしくは、書いてもらいましょう)。いつもと違う病院や薬局に行った時には、お薬手帳を見せて、あなたに合わない薬を事前にチェックすることができます。
- 変化をチェック
薬を飲んだ時の症状の変化を記入しておきましょう。例えば、「この薬を飲んだらよく効いて楽になった」「だるくなった」「のどが渇くようになった」「眠くなった」など、まめに日記のように書いておきましょう。また、次回受診するときのために、相談したい内容をかいておくのもオススメです。

なくなると困る薬、例えば血圧や心臓の薬などをお使いの方、お薬でアレルギーなどを起こした事のある方などは、ご用意しておくことをお薦めします。特にアレルギーは1度目より2度目の方が強く出ると言われていますので、記録しておけば安心です。小さなお子さまも、大人より病院にかかる回数が多いことや、自己管理もなかなか難しいので、あった方が良いと思います。
また、毎回同じ薬だとしても、飲んでいる間隔や最後にもらったのはいつかということも、治療の経過を確認する上でとても大切な情報になりますので記録はかかせません。最近では、ジェネリック医薬品が増えているために、同じ作用の薬であっても、名前の違うものが何種類もあり、こちらにも注意が必要です。

もし、阪神大震災や東北大震災で起きたような大災害が発生した時に、みなさんは何を持って非難しますか?お財布、通帳、印鑑などがまず頭に浮かんだのではないでしょうか。勿論、大切なものなのですが、もう一つ忘れてはいけないものがこのお薬手帳です。薬自体を持ち出すことも重要ですが、「自分が何の薬をどのような飲み方で使っているのか」という情報も極めて重要になってきます。避難先で飲んでいる薬の情報が瞬時に分かるので、安全が確保された環境で改めて検査などをしなくても、これまで使っていたものと同じ薬をそろえることが出来ます。実際に被災地で、数多くの方の助けとなり、大きな役割を果たしたのがお薬手帳の存在だったそうです。避難所を転々とされた方も、行く先々でこのお薬手帳を見せることで、何の病気でどの薬が必要かをすぐに分かってもらえたそうです。ぜひこの機会に一人一冊お薬手帳を持ちましょう。
予防接種は、各種の病原体に対して免疫を持たない感受性者あるいは、免疫の増強効果を目的とするものを対象者に行われるもので、感染予防、発病予防、重症化予防、感染症の蔓延化予防などを目的としています。
病気の中には、乳幼児期にかかっても軽く済みますが、大人になってからかかると重くなるものもあります。予防接種をうまく利用することで、病気にかかる心配を少なくすることができます。
・日本の予防接種制度
ワクチンによる予防接種には、「定期接種」と「任意接種」があります。
定期接種:予防接種法、公費負担、救済制度
任意接種:定期接種以外、全額自己負担、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法による救済
制度

・予防接種の種類
予防接種には、生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイド(無毒化されたタンパク質)、抗毒
素があります。
生ワクチン・・・生ワクチンは体内増殖するため、比較的強い免疫が惹起され、長期に持続し
ます。
不活化ワクチン、トキソイド・・・多量の抗原を複数回接種して免疫を惹起します。

・生ワクチンと不活化ワクチンの比較

・副反応
有害事象≠副反応(接種後30分間は注意深く様子を観察しましょう)
*2012(平成24年)9月1日から、生ポリオワクチンの定期予防接種が中止され、不活化
ポリオワクチンの定期接種が導入されました。

・ワクチンの接種間隔
あらかじめ混合されていない2種類以上のワクチンを別々に接種する場合には、通常不活化ワクチンおよびトキソイド接種の場合は、6日以上(一週間以上)の間隔をあけます。これは、一週間経てばワクチンによる反応がほぼなくなるためです。
また、生ワクチン接種の場合は、ウィルスの干渉を防止するため、あるいは副反応が起こるかも知れない時期をはずすため27日以上(4週間以上)の間隔をあけて次のワクチンを接種します。ただし、同じ種類のワクチンを複数回接種する場合においては、ワクチン毎に推奨される接種間隔が定められていますので、そのスケジュールに沿って接種します。
・急性感染症と予防接種


DPT-IPV(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)
ジフテリア・・・ジフテリア菌の飛沫感染で起こります。感染は主に咽頭ですが、鼻や喉頭
にも感染します。症状は高熱、喉の痛み、犬吠様の咳、嘔吐などです。
百日咳・・・ 百日咳菌の飛沫感染で起こります。普通の風邪のような症状で始まり、続
いて咳がひどくなり、連続的に咳が出ます。乳幼児では、咳で呼吸が出来
ず、チアノーゼや痙攣が起きることがあります。
破傷風・・・ 破傷風菌は人から人への感染ではなく、土の中にいて、傷口から人へ感染
します。傷口から菌が入り体内で増殖すると、菌の出す毒素により痙攣を
おこしたりします。
ポリオ(急性灰白隨炎)・・・ポリオとは、ポリオウィルスにより中枢神経細胞が破壊さ
れ、主に四肢に非対称の弛緩性麻痺を起こす感染症です。別名「小児まひ」
とも言われています。
DPT-IPV四種混合ワクチン
初回免疫として、小児に通常3~8週間隔をおいて3回皮下に注射します。追加免疫として、初回免疫後6ヶ月以上の間隔をおいて1回皮下に注射します。
ポリオワクチン(不活化ポリオワクチン(IPV)
通常、1回0.5㎖ずつを3回以上、皮膚に注射します。初回免疫については、生後3ヶ月から初回接種を開始し、3週間以上の間隔で3回接種します。追加免疫としては初回免疫後6ヶ月以上の間隔で1回接種します。
麻疹(はしか)
麻疹ウィルスの空気感染によって起こる病気です。感染力が強く、予防接種を受けないで感染機会があると必ずかかる病気です。発熱、咳、鼻汁、目やに、発疹を主症状とします。
風疹
風疹ウィルスの飛沫感染によって起こる病気です。潜伏期間は2~3週間です。軽い風邪様症状で始まり、発疹、発熱、後頸部リンパ節腫脹などが主症状です。
麻疹ワクチン(弱毒生ワクチン)
1歳台に麻疹にかかる可能性が高いので、1歳になったらなるべく早く麻疹風疹混合(MR)ワクチンを受けましょう。
第一期:1歳児。第二期:小学校入学前1年間の小児。(原則としてMRワクチンを接種します)
日本脳炎
日本脳炎は、蚊が媒体する日本脳炎ウィルスによって起こる感染症です。人が日本脳炎ウィルスに感染しても大多数は無症状です。しかし、感染者100~1000人に1人が脳炎を発症し、一旦脳炎を発症すると神経学的後遺症を残す例が多くみられます。
日本脳炎ワクチン(不活化ワクチン)
第一期として初回1~4週間の間隔で皮下に0.5㎖ずつを2回接種します。その後概ね一年後に追加接種を1回行います。ただし、3歳未満には0.25㎖。
第一期:生後6か月~90か月未満の者。第二期:9歳以上13歳未満の者。
結核
日本での結核はかなり減少しましたが、まだ2万人を超える患者が毎年発症しています。また、結核に対する抵抗力は母親から貰うことが出来ないので、生まれたばかりの赤ちゃんもかかる可能性があります。
BCG
BCGは牛型結核菌を弱めた生ワクチンです。BCGの接種方法はスタンプ方式で上腕の2カ所に押し付けて接種します。
ヒブ
ヒブ(Hib)は、「インフルエンザ菌b型」という菌の略称です。人から人へは飛沫感染します。
ヒブが原因で起こる病気の主なものには、髄膜炎、咽頭蓋炎、肺炎、敗血症などがありますが、中でも割合が高いのが髄膜炎です。
ヒブワクチン
ヒブによる髄膜炎はヒブワクチンの接種により予防できます。
特に罹りやすい0歳時に予防接種を受けておくことが重要です。接種は生後2か月齢からでき、通常4回皮下に接種します。接種の対象となるのは、2か月齢以上5歳未満の小児で、接種回数は月齢により異なります。
インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウィルスの感染によって起こる幼児から高齢者まで幅広い年齢層に流行する呼吸器疾患です。
人から人には、話をしたり、咳やくしゃみと共に飛沫感染します。
インフルエンザワクチン
インフルエンザワクチンに含まれるウィルス株は、インフルエンザの流行予測を行い、毎年厚生労働省が決定します。
ロタウィルス
ロタウィルス胃腸炎は、「ロタウィルス」というウィルスの感染によって起こります。ロタウィルスは世界中に分布し、5歳までに世界中のほぼすべての児が感染するといわれています。
ロタウィルス胃腸炎の多くは突然の嘔吐に続き、白っぽい水のような下痢を起こします。発熱を伴うこともあります。感染力が強く、体内にウィルスが10個侵入するだけで感染が成立するとも言われています。
ロタウィルスワクチン
ロタウィルスワクチンには、1価と5価の2種類があります。1価ワクチンは、生後6週から24週までの間に4週間以上の間隔をおいて2回接種し、5価ワクチンは生後6週から32週までの間に4週間以上の間隔をおいて3回接種します。いずれのワクチンも1回目は生後14週6日までに接種することが推奨されています。
肺炎球菌
肺炎球菌は、免疫の働きが十分でない、乳幼児や高齢者に様々な病気を引き起こします。肺炎球菌によって起こる主な病気には、肺炎、気管支炎等の呼吸器感染症や副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎、菌血症などがあります。現在、肺炎球菌感染症を予防するワクチンをしては、2歳以上で肺炎球菌疾患にかかるリスクが高い人、及び高齢者を対象とした23価肺炎球菌多糖体ワクチンと、2か月以上6歳未満の小児を対象を対象とした13価肺炎球菌結合型ワクチンの2つがあります。
13価肺炎球菌結合ワクチン
2歳以下の小児では、免疫の働きが未熟な為、多糖体ワクチンを接種しても必要な免疫反応を引き起こす事が出来ません。そこで、2歳未満の乳幼児でも免疫を付けられるように開発されたのが13価肺炎球菌結合型ワクチンです。
23価肺炎球菌多糖体ワクチン
このワクチンでは、1回の接種で肺炎球菌の23種類の型に対して免疫をつけることができます。この23種類の型で成人の肺炎球菌による感染症の80%以上がカバーできます。しかし、免疫が未熟な乳幼児では、このワクチンでは十分な免疫をつけることができません。
ワクチンごとの接種時期や間隔を考慮し、効果的に、確実に接種しましょう。
同時接種を積極的に取り入れて、効果的なスケジュールを立てましょう。
from AIDA

例年この時期になると猛威を振るうノロウィルスやインフルエンザウィルスですが、今年は例年にも増して発症数の増加が見受けられます。つい先日も浜松市内の小学校14校で、 児童905人、学校職員41人の計946人が嘔吐(おうと)や下痢などの症状を訴えて欠席し、12校が学校閉鎖になったニュースがありました。今後、全国的にも広がりを見せていく中で、ご家庭で手軽にできる対策・予防策をご紹介します。
・ノロウィルスノロウイルスは下痢だけではなく嘔吐を引き起こすことが特徴です。嘔吐では、適切に処理・消毒をしないとウイルスが床に残ります。乾燥しホコリと共に空気中に舞い上がり感染が広がっていくことがあります。下痢の場合、ウイルスはトイレで流されるため広がりにくいと考えがちですが、洋式トイレの普及に伴い便座からの感染にも注意が必要です。
ノロウイルスはエンベロープ(宿主細胞の膜)を持っておらず、アルコールや高温に対する抵抗性が強いことが特徴です。また、乾燥や酸にも強く、水中でも長時間生きていることができる非常に厄介なウイルスなのです。そのため、感染力があり、しばしば集団感染を引き起こしてしまいます。また、ノロウイルスには多数の遺伝子型が存在するため、同じ人が複数の違った型のウイルスに感染することがあります。さらに、感染が腸粘膜での局所感染なので免疫の持続時間が短いことも特徴です。ですので、一度かかったからといって安心していると、再感染を起こすこともありますので、十分に注意が必要です。
・不活化ノロウィルスによる食中毒・感染症の未然予防、および発生後の拡大防止のためには、汚染環境等に依存するノロウィルスを加熱、あるいは消毒・殺菌剤等により不活化(死滅)させることが極めて重要です。厚生労働省はノロウィルスを不活化させる方法として、85℃で1分以上の加熱および次亜塩素酸ナトリウムによる処理が有効であるとして、その適用を推奨しています。しかしながら、すべての汚染物に加熱あるいは次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が適用できるわけではなく、特に次亜塩素酸ナトリウムは、金属に対する腐食作用、皮膚等に対する刺激作用、衣類に対する漂白作用があるため、その使用が制限される場合が多くあります。
・ジア・アクア【Zia AQUA】

今でも次亜塩素酸ナトリウムは幅広い分野・施設において除菌、消臭を目的として使われております。しかし上記のように、使用には細心の注意が必要であり、デメリット(金属腐食作用、衣類変色作用、皮膚刺激作用)も否めません。そこで、これら一連のデメリットを極限まで解消した「次世代環境衛生水」のジア・アクアという除菌・消毒液があります。
ジア・アクアは、強力除菌と瞬間消臭を兼ね備え、しかも安全性を最優先した画期的な衛生水です。
強アルカリの次亜塩素酸ナトリウムと強酸性の塩酸という、単体でそれぞれが強力な除菌殺菌力、消臭力、破壊力を持っている二つの物質を、混ぜることで有毒ガスを発生させてしまうことは周知のとおりです。
しかし、ジア・アクアはこの二つを混ぜながらも有毒ガスを発生させず、人体は勿論のこと、ペットや環境にも配慮されたものであり、これほど「除菌消臭」に優れた物はあり得ないと言っても過言ではない衛生水です。
・構成

危険な次亜塩素酸ナトリウムを水で希釈すると、殺菌作用のある次亜塩素酸と、有害性のある水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)となります。そこに危険である(希)塩酸(=Ph調整剤)を混入することにより、安全性の高い次亜塩素酸・塩化ナトリウム(塩)・水=ジア・アクアとなります。
次亜塩素酸ナトリウム + 水 ⇒ + 希塩酸 = ジア・アクア
NaClo + H2O = HOCL + NaOH ⇒ + HCL = HOCL + NaCl + H2O 【Zia AQUA】
(次亜塩素酸佐トリウム+水=次亜塩素酸+水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)⇒+塩酸=次亜塩素酸+塩化ナトリウム+水)
・ジア・アクアの安全性

次亜塩素酸は、実は私たちの体内でも製造され大活躍しています。これは意外と知られていない事実です。活性酸素が体内に侵入した細菌などの異物を分解するのに活躍していると言われていますが、実際は、次亜塩素酸に変化した形で働いています。人体血液の白血球の1つである好中球にはミエロパーオキシダーゼという酵素が大量に存在し、活性酸素の一種である過酸化水素を塩素イオンと反応させ次亜塩素酸を作り出すためです。好中球が次亜塩素酸を発生させるこの酵素を大量に有している理由は、まさに除菌作用の為と言えます。生命は数億年かけてこの次亜塩素酸の血液中での安全性を証明してきたのです。そして、体内で菌を駆除するのに活躍している次亜塩素酸を体外でも使用可能にしたものがジア・アクアと言えます。
・ジア・アクアの効果

塩素殺菌と同様な特徴があり、瞬時の殺菌作用があり、効果の範囲も幅広くサルモネラ菌、大腸菌など食中毒の原因と言われる一般細菌から、ウイルスではノロウイルス、インフルエンザウイルスなど、一般に抵抗性が強いとされている芽胞菌などにも効果があると言われています。
手で触った時のヌルヌル感は無く、水道水を使うのと同じ感覚で使用できます。
アルコール消毒は、濡れていると効果が激減しますが、ジア・アクアは対象物が濡れていても効果を発揮します。手に付着しても手荒れは起こりにくく、勿論環境への負担が低い点が大変好評です。
また、次亜塩素酸ナトリウムが持つ消臭力を塩素臭も無く安全に活用すること出来ます。
ジア・アクアは、ドライ噴霧(数ミクロンの粒子径)で噴霧使用することが出来るので、人が居る場所での空間除菌(空中の浮遊菌・落下菌が対象)も行えます。
・ジア・アクアの使用例ノロウィルス予防対策、インフルエンザ予防対策、白衣マスク消臭除菌、空調設備消臭除菌、
調理用具消臭除菌、ペット臭消臭除菌、子供おもちゃ消臭除菌、歯ブラシ消臭除菌、ゴミ箱消臭除菌、トイレ消臭除菌、お風呂場消臭除菌、靴類消臭除菌、洗濯機消臭除菌、切花延命、熱帯魚病気予防、車内消臭除菌、その他生活環境における様々なお部屋の空間除菌など非常に多岐に渡ります。
詳しくは、ウエノ薬局本店までお問い合わせください。
厚生労働省により発表された平成24年度簡易生命表によると、男性の平均寿命は79.94年、女性の平均寿命は86.41年であることが分かっています。この平均寿命から日常生活に制限のある不健康な期間を除いた期間を健康寿命と言い、平均寿命が延伸する中、健康寿命を延ばすことが、個人の生活の質の低下を防ぐ観点から重要とされています。
表1 主な年齢の平均余命とその延び
(単位:年)年齢 | 男 | 女 | 平成21年 | 平成20年 | 延び | 平成21年 | 平成20年 | 延び | 0歳 | 79.59 | 79.29 | 0.30 | 86.44 | 86.05 | 0.39 | 5 | 74.87 | 74.57 | 0.30 | 81.69 | 81.33 | 0.36 | 10 | 69.90 | 69.61 | 0.29 | 76.73 | 76.36 | 0.37 | 15 | 64.93 | 64.65 | 0.28 | 71.75 | 71.39 | 0.36 | 20 | 60.04 | 59.75 | 0.29 | 66.81 | 66.45 | 0.36 | 25 | 55.20 | 54.92 | 0.28 | 61.90 | 61.54 | 0.36 | 30 | 50.37 | 50.09 | 0.28 | 57.00 | 56.64 | 0.36 | 35 | 45.55 | 45.27 | 0.28 | 52.11 | 51.75 | 0.36 | 40 | 40.78 | 40.49 | 0.29 | 47.25 | 46.89 | 0.36 | 45 | 36.09 | 35.79 | 0.30 | 42.44 | 42.08 | 0.36 | 50 | 31.51 | 31.21 | 0.30 | 37.70 | 37.34 | 0.36 | 55 | 27.09 | 26.79 | 0.30 | 33.04 | 32.69 | 0.35 | 60 | 22.87 | 22.58 | 0.29 | 28.46 | 28.12 | 0.34 | 65 | 18.88 | 18.60 | 0.28 | 23.97 | 23.64 | 0.33 | 70 | 15.10 | 14.84 | 0.26 | 19.61 | 19.29 | 0.32 | 75 | 11.63 | 11.40 | 0.23 | 15.46 | 15.18 | 0.28 | 80 | 8.66 | 8.49 | 0.17 | 11.68 | 11.43 | 0.25 | 85 | 6.27 | 6.13 | 0.14 | 8.41 | 8.21 | 0.20 | 90 | 4.48 | 4.36 | 0.12 | 5.86 | 5.71 | 0.15 |
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表2 平均寿命の年次推移
(単位:年)和暦 | 男 | 女 | 男女差 | 昭和22 | 50.06 | 53.96 | 3.90 | 25-27 | 59.57 | 62.97 | 3.40 | 30 | 63.60 | 67.75 | 4.15 | 35 | 65.32 | 70.19 | 4.87 | 40 | 67.74 | 72.92 | 5.18 | 45 | 69.31 | 74.66 | 5.35 | 50 | 71.73 | 76.89 | 5.16 | 55 | 73.35 | 78.76 | 5.41 | 60 | 74.78 | 80.48 | 5.70 | 平成2 | 75.92 | 81.90 | 5.98 | 7 | 76.38 | 82.85 | 6.47 | 12 | 77.72 | 84.60 | 6.88 | 13 | 78.07 | 84.93 | 6.86 | 14 | 78.32 | 85.23 | 6.91 | 15 | 78.36 | 85.33 | 6.97 | 16 | 78.64 | 85.59 | 6.95 | 17 | 78.56 | 85.52 | 6.96 | 18 | 79.00 | 85.81 | 6.81 | 19 | 79.19 | 85.99 | 6.80 | 20 | 79.29 | 86.05 | 6.76 | 21 | 79.59 | 86.44 | 6.85 | |
注:1) | 平成12年まで及び平成17年は完全生命表による。 | 2) | 昭和45年以前は、沖縄県を除く値である。 |
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図1 平均寿命の延びに対する死因別寄与年数
注: | 1) | 3大死因とは悪性新生物、心疾患、脳血管疾患である。 |
2) | 交通事故は、不慮の事故の再掲である。 |
セルフメディケーションとは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と、世界保健機関(WHO)は定義しています。自分の健康は自分で守るという意識や自覚を持ちながら、普段から食事の栄養バランスに気を付け、十分な睡眠時間を確保し、適度な運動を行うことで個人に本来備わっている自然治癒力を高めることがセルフメディケーションの基本となります。
セルフメディケーションには、次に挙げる様な利点があります。
・日常的な健康管理の習慣が身に付く。
・医療や薬についての知識が身に付く。
・疾病により医療機関を受診する手間や時間を省くことができる。
・通院が減ることにより国民医療費の抑制に繋がる。
しかしながら、誤った知識によるセルフメディケーションは良い結果を得られないばかりか、逆に体調を崩す原因となる可能性があるのも事実です。上手にセルフメディケーションを行うには、正しい情報を入手し、正しい知識を身に付ける必要があります。
私たち調剤薬局に勤務する薬剤師の業務は、処方されたお薬を用意するだけではありません。例えば、
・処方薬についてもっと詳しく知りたいとき。
・健康に関して不安があるとき。
市販薬やサプリメントを購入する際には、
・アレルギーに該当する成分を含んでいないか。
・処方薬と成分が重複していないか。
・飲み合わせに危険なものがないかどうか。
このような場合に、かかりつけの薬局に相談することで、今までに使用した薬やその人の体質、副作用歴などの記録から、その人に合った的確な情報提供を受けることや、健康状態・症状によっては受診勧奨を受けることができます。
正しいセルフメディケーションをサポートするための健康相談窓口となることも、薬局薬剤師の大切な役割のひとつであると言えます。
※厚生労働省簡易生命表より
セルフメディケーション(Self-medication)とは、自分自身で健康を管理し、あるいは疾病を治療すること。
禁煙の意義
喫煙は様々な病気の原因になるだけでなく、煙を吸う周りの人にも健康被害を及ぼすことがあります。喫煙による病気には症状が重くなる病気も少なくありません。また禁煙によりタバコによる経済的な負担を減らすことができます。
喫煙者本人の健康被害について
タバコによる健康被害で思い浮かぶのは肺がんですが、肺がんにかかわらずがん全体の4割の原因に喫煙が関わっていることが分かっています。たばこが関わる主ながんは肺がんの他に、口腔・咽頭がん、食道がん、喉頭がんなどでたばこの煙の通り道に集中しているようです。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
長年の喫煙で肺に負担がかかりCOPD(慢性閉塞性肺疾患)という厄介な病気にかかることがあります。この病気の最大の原因はタバコで別名タバコ病とも言われています。主な症状は運動した時の息切れや咳・痰ですが最初期は無症状なので、気が付いた時にはある程度進行しています。一度壊れた肺は元に戻ることはないため症状の進行悪化の防止や息切れや咳などの対症療法が主な治療になります。
ニコチンによる健康被害
また、ニコチンはたばこを止められなくなる依存症を起こすことで知られていますが、血管を狭くする作用やインスリンの働きを妨げる作用もあるため、糖尿病など生活習慣病の原因の1つであることが分かっています。また心臓病(狭心症や心筋梗塞)や脳卒中で死亡する確率は喫煙者に比べて1.7倍、慢性腎臓病になる方は2倍程度高くなるという報告があります。
妊娠中の喫煙に関しては、早産や低体重児になる確率は2倍程度高まることが知られています。低体重児は専門の医療機関に入って特別な治療を受けなければいけないケースがあるため、生まれたらすぐに市区町村へ届け出なければならないことが母子保健法で定められています。
受動喫煙による健康被害について
タバコの先から出る煙はフィルターを通さないためタールなどの有害物質は喫煙者が吸う煙よりも多く含まれています。非喫煙者が意図せずに煙を吸い込むことを受動喫煙と呼び、不特定多数の人が利用する施設では受動喫煙の防止が健康増進法によって義務付けられています。
特に小さいお子さんが両親の喫煙により受動喫煙をされた場合は乳幼児突然死症候群(SIDS)という病気のリスクが4.7倍になるという報告があり、朝起きたら昨日まで元気だった子どもが冷たくなっていたという取り返しのつかないことになる可能性があるので妊婦や赤ちゃんの受動喫煙には十分な注意が必要と考えられます。
タバコを止められないことは病気
2013年現在の日本では厚生労働省が禁煙を積極的に勧めており、タバコが止められない症状はニコチン依存症という正式な疾患として扱われています。このため禁煙補助薬がドラッグストアなどに陳列してある他、重症の患者様には禁煙外来を受診することができます。
ニコチンは非常に依存性が強く、無理にタバコを止めようとすると離脱症状といってイライラ感や落ち着かない・頭痛・倦怠感などの症状を起こすことがあります。離脱症状はタバコを吸うことで治まるので少しずつ本数を減らしていくことが重要です。
禁薬物療法について
市販の禁煙補助薬や禁煙外来による薬物治療はどちらもニコチン置換療法と言われるものでタバコの代わりとなる媒体からニコチンなどを摂取することでタバコを吸わずに離脱症状を防ぐことを主眼にしています。
薬物を使用しても禁煙に失敗する恐れがあるため、治療に当たっては禁煙の決意をもって臨むことが必要です。
12週で治療に要する費用は健康保険を利用すれば1日1箱(20本)吸う場合より安価なケースが多いです。
タバコ1日1箱(400円)12週 33,600円
一般用ニコチンパッチ(8週) 21,000円
医療用ニコチンパッチ(8週) 約13,000円
飲み薬(チャンピックス錠) 約20,000円
禁煙補助薬はパッチ剤ではかぶれやかゆみ・不眠などの、飲み薬では眠気・便秘・頭痛・不眠などの副作用が起こることがあります。離脱症状も人によって起こることがあるので注意してください。また、食欲が増加して体重が増加することがあります。
まとめ
1. 喫煙は様々な重い病気の原因になるおそれがある。
2. 喫煙者本人だけでなく受動喫煙により周りにも健康被害が及ぶ恐れがある。
3. ニコチン依存症は病気であり、様々な治療が受けられる。
4. 禁煙治療は禁煙の明確な意思をもって治療に臨むことが必要。
参考資料
厚生労働省 タバコと健康に関する情報ページ
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/tobacco/index.html
厚生労働省 乳幼児突然死症候群(SIDS)について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/sids.html
日本呼吸器学会 慢性閉塞性肺疾患
http://www.jrs.or.jp/home/modules/citizen/index.php?content_id=12
日本医師会 健康の森 慢性閉塞性肺疾患
http://www.med.or.jp/forest/check/copd/
<かかりつけ薬局が注目!?>
普段、体調が悪くなったときは、「かかりつけの病院」に行かれると思いますが、先生からお薬が処方されたときは「かかりつけの薬局」でお薬をもらっていますか?
あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、かかりつけの薬局を持つことは、とても大切で、生活環境が多様化している現代では、疾患や薬の種類を見ても昔に比べて数が増えていますので、薬を飲む時には、薬の専門家である薬剤師に確認してもらう必要性が高まっています。
<かかりつけ薬局とは?>かかりつけ薬局とは、薬に関するあらゆる相談に応じ、情報提供して、患者さまのお薬に関する記録を包括的に管理する保険調剤薬局のことをいいます。「かかりつけ医」が普段の健康管理や万が一病気になった時の心強い味方だとすれば、かかりつけ薬局は薬の面から体調や健康の管理をサポートしていきます。
・お薬の記録薬局では、患者さまごとに薬歴というものを作ります。薬歴とは、事前に患者さまの体質や副作用歴、一緒に飲んでいる薬と合わせて、処方せんによって調剤したお薬の内容を記録するものです。処方せんを受け付けた時や相談を受けた時などは、薬歴を確認することで、体に合わない薬で副作用が起こるのを未然に防いだり、市販薬も含めて、いくつかの薬を一緒に使われるときに適切なアドバイスをするのに役立てています。
・お薬のチェック
処方せん調剤時には、薬歴をもとに前回までの記録と見比べながら調剤しますので、同じ時期にいくつかの病院・医院にかかり、薬や処方せんをもらった場合、処方どおり調剤してよいかどうかをチェックすることもできます。別々の医師から処方された薬で成分が重なって薬が効きすぎたり、一緒に服用すると薬の作用が強められたり、副作用が出やすくなる場合などは、薬局の薬剤師が処方された医師に相談して、有効で安全な薬を調剤するように努力しています。
・情報提供病院で処方された薬に関して、「ちょっと心配なこと」は意外と多いもので、医師に聞きそびれた疑問もかかりつけ薬局では気軽に質問できて、安心してお薬を飲むことが出来ます。また、病院でもらった薬だけでなく、ドラックストアなどで一般に販売されている市販薬に関する情報提供や、患者さまの健康に関する情報提供も受けられます。市販薬や健康食品、サプリメントなどと病院からもらった薬との飲み合わせの相談なども気軽にできますので、薬をもらう際には声を掛けてみてください。
・街の薬局かかりつけ薬局のメリットとしてあげられるものに、立地もあります。遠くの病院でもらった処方せんでも、近くのかかりつけ薬局に持っていけば、快く薬を調剤してくれますし、初めての場所などでは、また最初から体質や飲んでいる薬の説明などをしなければなりませんが、かかりつけ薬局では、管理している記録がありますので、それを見ながら調剤をしていきます。
また、お住まいの近くであれば、一旦薬局に処方せんを預け、調剤を待っている間に買い物に行ったり、一度家に帰ることもできます。お年寄りや患者さまの体調がすぐれない時には、ご家族の方が代わりに処方せんを薬局にお持ちになったり、お薬を取りに来ていただくこともできます。
★かかりつけ薬局を利用する際に忘れてはいけないのが、お薬手帳です。もし、他の病院でもらった薬などがあれば、お薬手帳に記載されていますので、その情報も調剤の際には非常に大切な情報となります!!<ご存じですか?医薬分業>
かかりつけつけ薬局について見てきたところで、次は医薬分業という観点からもう少し詳しく薬局についてお話していきます。今まで、みなさんが病院や医院で診察を受けた際は、お薬を病院の中でもらうのが普通でした。でも最近では、これに代わり「院外処方せん」を先生に書いていただいて「保険調剤薬局」でお薬を調剤してもらうことが多くなりました。この制度のことを「医薬分業」といいます。医師と薬剤師という専門家が、それぞれの立場から処方についてチェックを行い、お薬の効き目や安全性をより一層高めてより良い医療を提供することを目的としています。
<医薬分業はいつから?>医薬分業は、世界の先進国ではほとんどの国が実施している制度で長い歴史を持っています。起源は、12世紀ローマの帝国の王が、主治医が自分を裏切って毒殺されることを恐れ、薬のチェックを別の人に行わせたことが始まりとされていて、それ以来薬剤師は、医師の処方をチェックする「薬の番人」として機能するようになりました。
日本の医薬分業制度は、昭和30年に「医師法、歯科医師法、薬剤師法の一部を改正する法律」が施行されたことにより、法律上で制度化されました。日本では、昔から医師のことを薬師(くすし)と言ったように、医師が診察と投薬することが習慣として定着していたので、医薬分業はなかなか進みませんでした。近年は、医療の高度化とともに機能分化が進み、その時代の流れとともに、医薬分業は急速に普及しています。
<医薬分業の目的>医薬分業制度には大きく分けて3つの目的があり、かかりつけ薬局の大切さについても触れられています。
・より良い質の高い医療サービスの提供現在、病気などの治療方法としては、医薬品を使用して治療するケース(薬物療法)が多いため、自分の受けている薬物療法について正確かつ適切な説明を聞くことが出来ます。また、患者さまがかかりつけ薬局を持つことにより、薬局では薬歴簿などでお薬の服用歴を一元管理できるので、事前に安全な処方が確認できて、安心してお薬を服用することができます。医療の専門家である医者と、医薬品の専門家である薬剤師が処方を二重でチェックすることにより、医薬品の効果と安全性をさらに高め、より良い医療サービスを提供することが出来ます。
・高齢社会に向けて安全な医薬品使用
今後もますます高齢化が進んでいくことが予想されますが、年齢を重ねていきますと、様々な病気やケガになる可能性が高くなってきます。病気を併発すると、複数の病院や診療科を受診することになり、処方される薬の種類も多くなってきますので、場合によっては、処方薬の掛け合わせや量によって、副作用などの薬害が発生することも十分考えられます。しかし、かかりつけの薬局を持つことにより、薬歴簿による薬歴の管理をしてもらえば、このような問題を事前に防ぐことが可能になります。
・医療費を適正化一般的には、医薬品の費用が医療費のうちで一番多くかかります。従来の制度ですと、患者さまに対して薬の過剰投与や重複投与など、必要以上に薬を処方されることもあり、医療費も同様に必要以上に出費される可能性がありました。これによって国の医療費も増加し、財政が圧迫される問題も起こります。国や患者さまにとって負担になることは良いことではありません。医薬分業を推進することにより、薬の過剰投与や副作用などの問題も未然に防止され、その結果、医療費を適正化することが期待できます。
<患者さまにとっての利点>医薬分業という制度は、処方と調剤という、医師と薬剤師がそれぞれの立場から職能を発揮し、力を合わせることにより、お薬の効果や安全性を高め、患者さまの病気やケガを治していこうというものです。
・お薬の十分な説明薬局に勤務する薬剤師には、処方された薬の名前、用法・用量、効能・効果、副作用のほか、食事、飲み物を取る上での注意、保管や服用上特に留意すべき点などを説明する義務があります。診察を受けた医師にお薬のことを聞くのは気が引けるという方も中にはいらっしゃいますが、不明な点を尋ねれば、薬の専門家である薬剤師が、丁寧にお薬の説明と服薬指導を行いますので、納得してお薬を飲むことが出来ます。また、最近は、休日や夜中でも、お薬について相談できる薬局も増えてきています。
・副作用の防止薬局の窓口でお薬を渡す際、副作用の起きる危険性や頻度、その兆候を説明することによって、副作用の発現を早期に発見したり、発生頻度を下げることが出来ます。副作用の防止に役立つのが、かかりつけの薬局を持つことです。患者さまの体質やお薬の服用歴、今までの服薬指導歴などを薬歴に記録してありますので、それを事前に確認し、患者さまにお薬の説明をしますので、副作用に対する注意も患者さまに添ったアドバイスができるようになります。
・重複投与、調剤ミスの減少
薬を取り扱う専門家である薬剤師が調剤に従事することで、調剤ミスをする可能性が低くなることは十分考えられます。調剤したお薬をさらに別の薬剤師が確認するダブルチェックを行う薬局がほとんどで、お薬をお渡しする際に再度、患者さまにも確認していただきます。また、上記のようにかかりつけ薬局で薬歴をしっかりと管理している場合は、同じ効果の成分を持つお薬を同時に飲んでしまうような重複投与を見つけやすくなります。
・処方ミスの減少医師の処方ミスはあってはなりませんが、人の行うことですので、それを無くすことは不可能であり、それをできるだけ減らし、被害を最小限にすることが肝要です。そのために、医師の処方を薬剤師がダブルチェックすることは有用だと考えられています。
・待ち時間の減少病院や診療所で薬が出来るのを待つことなく、自分の選んだ薬局で自分の都合のいい時間にお薬をもらうことが出来ます。職場の近くにかかりつけ薬局を持っていれば、お昼休みに処方せんを出して、会社帰りに寄ってお薬をもらうこともできます。また、お薬を取りに行くのが難しい方は、医師の指示により、薬局から薬剤師がお薬を持って、自宅に訪問する制度などが利用できます。
<院外処方せんとは?>薬局でお薬を調剤してもらう際に、必要なのが院外処方せんです。医師や歯科医師が診察をして、治療にお薬が必要と判断されると、薬の名前や分量、使い方などを記入し、患者さまに発行します。患者さまは処方せんを受け取った後、病院の近くの薬局やかかりつけ薬局に持って行って調剤してもらいますが、実は処方せんには有効期限があり、健康保険法によって、原則として、処方せんが発行された日から4日以内と定められています。案外この有効期限のことを知らない方がいますので、気をつけてください。ただ、旅行など有効期限内にどうしても薬局に行けない事情がある場合は医師に伝えて、期限を延ばす旨の記載をしてもらうこともできます。それ以外は、必ず有効期限内に薬局でお薬を受け取ってください。
<かかりつけ薬局だからこそ>お薬に関する生活の変化なども、遠慮なく相談してみてください。例えば、最近、お薬の種類が増えて飲み忘れや、飲み間違いがあるという方には、一包化という服用時ごとにお薬をまとめて小袋に包んだものを飲むように提案したりできます。些細なことでも、ぜひご相談ください。

世界中の著名な建物が、一様に青く光る姿を見たことはありますか?11月14日は
「世界糖尿病デー」です。
2006年末、国連では「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議」を加盟192ヶ国の全会一致で可決し、糖尿病の治療にも使われる
インスリンを発見したバンティング博士の誕生日である11月14日を世界糖尿病デーに指定いたしました。空の色でもあり国連の旗の色でもある青(ブルー)をシンボルカラーとし、世界中でライトアップすることで団結の輪(サークル)を結ぶことで、糖尿病の治療と予防を広く呼びかけるキャンペーンが展開されています。そのシンボルマークを
「ブルーサークル」と呼びます。
成人における世界の糖尿病人口は
2011年で
約3億6600万人に上り、成人人口の
約8.3%が糖尿病とみられています。今後も増え続け、
2030年には
約5億5200万人、約9.9%に達するとの統計が出されています。
我が国でも2011年で約1067万人、成人人口の約11.2%を占めており、有病率は
世界をも上回っています。糖尿病の恐ろしいところは重症化するまでほとんど自覚症状がなく、気づいたときには合併症が進行している点です。適正な知識を得て、定期健診や生活習慣の改善から発症しないよう、早期対策を行う必要があります。

<糖尿病の定義>
血液中のブドウ糖濃度(血糖値)は、様々なホルモンの働きによって常に一定範囲内に調節されています。様々な理由によってこの調節機構が破綻し、血液中の糖分が利用されず、異常に高くなっている状態を指します。その中でも特に「インスリン」と呼ばれるホルモンの作用が低下していることが多くの要因です。
血糖値の高い状態が続くと、体中の微小血管が徐々に破壊されていき、目や腎臓を含む体中の様々な臓器に重大な傷害を及ぼす可能性があります。糖尿病治療の主な目的は合併症を防ぐことが重要です。
<インスリンとは>
膵臓から分泌されるホルモンです。筋肉や脂肪組織、肝臓などに血液中の糖分を取り込み、利用されたり貯蔵されたりすることで、血糖値を下げます。24時間一定量出続けている「基礎分泌」と、食事により血糖値が上昇することで、急速に分泌される「追加分泌」があります。健康な人の場合は、血糖値に応じてインスリンが分泌され血糖値をうまくコントロールしています。糖尿病患者では、インスリンがうまく働いていないか分泌量が低下しているため血糖値が高くなります。
<糖尿病の種類>
・1型糖尿病
体の中にあるインスリンを分泌する細胞がなんらかの理由で破壊され、インスリンが分泌されなくなります。原因は不明で、いくつかの遺伝子と環境要因が複雑に重なり発症すると言われています。
・2型糖尿病
遺伝的背景や過食、運動不足による肥満など様々な要因でインスリンの分泌が低下や、インスリンの働きが悪くなることで発症します。糖尿病と診断される人の
約95%がこの2型糖尿病です。
その他にも、妊娠中に増加するホルモンが原因で高血糖になる「妊娠糖尿病」や、他の疾患や薬物により引き起こされる「続発性糖尿病(二次性糖尿病)」などがあります。
<糖尿病の合併症>
血糖値が高い状態が続くことで血管壁は傷つきもろくなり、血液がドロドロになることで毛細血管が詰まります。この状態が続くことで合併症を引き起こします。合併症の中でも、顕著に表れなお且つ重大な3つの合併症を「糖尿病三大合併症」と呼び、以下にご紹介いたします。
・
糖尿病性網膜症 目の奥には多くの毛細血管が張り巡らされています。血管内が詰まったり、固まったりしやすくなることで、血管壁に負担がかかり出血します。また血液の流れが悪く神経への栄養が十分いかず、弱く新しい血管が作られ簡単に破裂や出血をしてしまうため、網膜剥離(網膜がはがれてしまうこと)が起きます。これらを総称して網膜症と呼びます。中途失明原因としては、緑内障に次いで2位に位置しています。
・
糖尿病性腎症 腎臓は血液をろ過してきれいにする機能があります。高血糖状態でさらされることで腎機能が低下し、体内の老廃物、不要なたんぱく質や塩分が体内に残ります。尿量が減少することでむくみも起きます。進行すると体内の老廃物を人工的に浄化する「透析」が週に3回、1回にかかる時間が4時間ほどの物理的な治療が必要となります。
・
糖尿病性神経障害 全身に広がっている末梢神経には感覚神経と自律神経があり、糖尿病により障害を受けます。手先足先にしびれを感じることや痛みを感じにくくなることで、怪我した時に気付かず、手当てが遅れるという危険が増します。自律神経障害では、下痢便秘を繰り返す、発汗、排尿障害、起立性低血圧などを起こします。
<生活習慣の改善>
糖尿病の治療や予防において薬物療法は血糖値をできるだけ正常な範囲にコントロールするで、高血糖状態の暴露から解放し血管や神経、臓器の保護が目的です。しかし、何よりも
運動や食事の生活習慣を改善することがとても重要です。
・食事療法
1日3回の食事を偏りなく食べることが大切です。また1日の適正な摂取エネルギーを守りつつ、「食品交換表」などを 利用して栄養バランスのとれた食事内容にする必要もあります。脂質、糖質、たんぱく質の三大栄養素だけではなく、これらの働きをスムーズにするために、ビタミンやミネラルも忘れてならない品目です。

・運動療法
運動することでインスリンの効きが良くなったり、筋肉で脂質や糖分が利用されることで血糖値や中性脂肪を下げたり、基礎代謝を上げることができます。状態や体力に合わせたものを行うことが大切で、負荷をかけ過ぎては危険で続けていくことも難しくなります。いきなり毎日が無理でも1日おき程度で続けられる手軽な運動が有効です。現在通院治療中である場合はかならず医師と相談してから行うようにしてください。
過度の食事制限や、薬物治療中においてはその時の体調や状況で血糖値が下がり過ぎ「低血糖」を生じることがあります。イライラ、あくびから始まり、冷や汗やふらつき、ふるえ、さらに進行すると昏睡となることもあります。低血糖は起こさないことが何よりではあるのですが、いち早く初期症状に気付き、ブドウ糖など適応する甘いものを摂取する必要があるため、自分自身の低血糖状態を知ることも大切です。
糖尿病は完治させる病気ではなく、如何に血糖値を上手くコントロールしていくかという病気です。症状を悪化させない、糖尿病を発症しないためには、自分自身の意志と自己管理が大切です。最悪の場合では、失明、腎不全により透析、手足の壊疽という恐れがあります。しかし、自分自身の体であることを常に考え、生活習慣の見直しを怠らないようにしましょう。そして、定期的な健康診断を受け、自分の体を知ることが何よりも大切です。
・マイコプラズマ肺炎とは
マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)という微生物によって引き起こされる呼吸器感染症です。昨年11月には天皇陛下や皇太子ご夫妻の長女、敬宮愛子様が入院なされた際にマイコプラズマ肺炎感染の可能性があるとしてメディアでとりあげられ、みなさまも耳にする機会が多かった言葉ではないでしょうか。マイコプラズマは細菌とウイルスとの中間に位置する微生物であり、ウイルスのように他の生物の細胞の力を借りて増殖するのではなく細菌と同様に自分の力で増殖しますが、一般の細菌とは異なり細胞壁を持たないという特徴もあります。マイコプラズマ肺炎の発生は年間を通して見られ、冬にやや増加する傾向があります。従来4年毎の周期で発生が増減しており、近年では1984年(昭和59年)、1988年(昭和63年)に大きな流行がみられました。このため「オリンピック病」と呼ばれたこともありましたが、最近ではそのような規則的な流行はなくなってきています。
・臨床症状と感染経路主な症状は発熱、倦怠感、頭痛、咳などです。感染後2~3週間の潜伏期間を経て発症し、経過に伴い咳は徐々に激しくなり、解熱した後もなかなか改善せず、3~4週間ほど続くことがあります。他に中耳炎や発疹、ときには髄膜炎、脳炎、心筋炎、肝炎を合併することがあります。感染経路は飛沫感染・接触感染であり、感染者の気道の分泌物に含まれる病原体が咳やくしゃみにより飛沫となり、この飛沫を吸いこむことなどにより感染すると考えられます。家庭内、学校、職場などの集団内での感染率は高くなります。また、潜伏期間が比較的長いため施設での流行が起こった場合には数カ月続くこともあります。
・治療と予防
マイコプラズマ肺炎の治療は抗菌薬による化学療法と発熱や咳などの症状を抑えるための対症療法が主体となります。マイコプラズマは細胞壁を持たないため、細胞壁の合成を阻害する薬剤(ペニシリン系、セフェム系薬剤)は効果がなく、マクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系薬剤が用いられます。マイコプラズマ肺炎に対するワクチン(予防接種)は今のところありません。感染を広げないためには手洗い、うがいなどの一般的な予防方法の励行、マスクを着用するなどの咳エチケットが基本となります。
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